▼2003年11月 2日 (日)   -- No.[1]

メインマシンの更新・・・・
 メインマシンの更新計画は、娘のP-4 1.8GHzのマシンとサブマシンの本体を入れ替える、という実に安上がりな方法で落ち着いた。娘はもともとぼくのマシンも使っていろいろな画像や音声ファイルを置いていくのでマシンの速度とかはどうでもいいようだ。
 というわけで、P-4 1.8G 512MB チップセットはIntelE845G、ビデオはMatrox MillenniumG550というまあまあまともなマシンになった。ただし、HDDは80GBのうちかなりが使われており(何せ1枚5MBもあるBMPファイルや下手すると100Mを超えるWAVを毎日のようにいくつも増殖している・・・)HDDの増設は必須。

 スーパーパイは昨日までのメインマシンAthron900が2分半くらい、今回が1分半くらい。カシミール3Dのレンダリングはざっと見たところ25%か30%くらい速くなったかな。

 ただXP-Proはやや反応が鈍いところがある。それなりにカスタマイズしているが、比較対象が職場のP-4 2.4GHz-Mなんで仕方ないか。なんとなくグラフィックかな、という感じもするし、HDDへの書き込みなのかよくわからない。HDDはATA100だが、いまどきは133なんだろうか・・・。

 さて、話を元に戻すと、このマシンは昨年エプソンダイレクトで購入したもの。購入してセッティングしてもマニュアルもリカバリーCDのありかも忘れていたが、さすがにちょっと探して発見した。製品判PCのマニュアル、それもデスクトップ機のマニュアルを読むのは、思えば、最初のマシンNEC98マルチ以来・・・。まあ、ノートPCのは割りと見ましたが・・・。
 で、けっこうよくできています。
 そこそこ分厚いが、携帯電話のマニュアルほど厚くもなく、文字も小さくはない。
とはいえ「できる」シリーズのようにカラー写真ざんまいの無駄な豪華さもなく、ちょっと質素すぎるような作り。SONYだとこうならないだろう。
 ざっと眺めると、BIOSの設定方法やCMOS電池の交換方法、HDDやドライブの増設の仕方などがかなり詳細に記載されておりなかなかよくできたマニュアルだと思った。
 いわゆるBTOパソコンのマニュアルはほかのもこんなに親切なんだろうか。

 いずれにしてもこれで先日購入した(これもたまたまエプソンの)スキャナーGT-9400Fが要求するUSB2.0が使えます・・・。フロントにUSBの口があるのは便利です。



▼2003年11月 3日 (月)   -- No.[2]

XPの高速化
ちょいと遅いかなというXPであったが、NIFTYのWINFAQ こちら のこのあたりを試したらストレスは
なくなった。

・視覚優先からパフォーマンス優先:こちら
・Lunaの無効化:こちら
・テキストサービスのオフ:こちら

クラシックスタイルには最初からしていたが、
上記の3つは簡単かつ安全に設定できて相応の効果がある。
テキストサービスのオフでそれまでタスクバーに収容されていたIMEのバーが外に出た・・。

もっとも、ぼろぼろにフラグ化していた起動ドライブをデフラグしたのが一番効果があったのかも。

空き容量が少ない状態でのデフラグはWINDOWS付属のアクセサリのデフラグでは時間ばかり
かかって結局途中でだめになるようで、久しぶりにNortonのSpeedDiskを使った。

なお、ページファイルの別ドライブ化とかはしていない。


▼2003年11月 8日 (土)   -- No.[3]

山の本3題(その1) 「山麓亭百話」
 山の本について3編、書こうと思う。

 横山厚夫さんの「山麓亭百話」の下巻を読んだ(写真は今、読んでいる上と中)。

 横山厚夫さんの名前をはじめて知ったのは中学2年で、奥多摩・奥武蔵のガイドブック(山と渓谷社の当時のアルパインガイド)の著者としてである。なぜ時期を記憶しているかというと少しばかり恥ずかしい思い出があるから・・・。
 中学2年の時に(今となっては中学生にする質問とは思えないが)尊敬する人の名前を紙に書いて無記名で提出したことがあった。同級生が家族やら歴史上の人物を書く中で、ぼくは氏の名前を書き、読み上げていた担任のI先生が「これは誰だ?」と首をかしげていた・・・。中2の時は夏の北海道一周で礼文島でもう嫌だというほど歩いたくせに山に興味を持ち始めた頃。その年の年末に行く大岳山や御前山、そして翌年行く雲取山や武甲山、そして田部重治、木暮理太郎の名前もすべて横山さんのガイドブックで覚えたわけで、まあ、当時はそのガイドブックを書いた氏はけっこう入れ込んでいたわけで、まあ、若気の至りということで・・・。
 そういう思いもあり、その後「登山読本」をはじめとして、ことある毎に氏の本を読んだ。学生の頃には木暮理太郎の研究に端を発する「東京から見える山、見えた山」(すでに絶版だったので図書館で借りたが、その後古本屋で入手)にはまったりして、なかなか思い入れもあったりする方である。氏と同じ大学を出た、ということも少しあるかも・・・

 で、「山麓亭百話」である。
 まったく知らなかったのだが、これは白山書房の季刊誌「山の本」に連載されていた氏のエッセイで山の紀行よりも山にまつわるメディアの話が多い。それは映画であったり写真集であったりするがもちろん最大の話題は書籍になる・・・。それも少し(かなり)古い本の話が多い。
 なんで古い話が多いかというと、明治や大正、戦前あたりは、山が荒れておらず、また建物が少ないので東京からの展望も今と比べ物にならないくらいよかった。そして昔の人はやはり今とは比べ物にならないくらいまじめでかつ健脚であった・・・。そんな話が随所に出てくる。そんなわけで少し昔の本を読みたい、手に入れたいと思い始めた・・・。

 また、この本を読む少し前に、浅野孝一さんの「樹林の山旅―関東・甲信・南会津の山歩き」 こちら を読んだ。この人は山と渓谷社から「知的登山のススメ」を出している人で、山の本についての著作が多い。「樹林の山旅」も渋いモノクロ写真とともにその山や地方についての謂れや書籍の紹介があり、落ち着いた本であった。
 そういう中で「山麓亭百話」を読んだので、少し古い本を探してみたりしている(それは次回に)。

 ここでは「百話」の(たぶん下巻)記事からひとつ。
 氏も昨今の百名山ブームには眉をしかめている一人である。氏は「今、みんなが登っている百名山は深田さんが登った百名山とは別ものなのだ」という。その例として金峰山をあげる。
 木暮理太郎が金峰山を褒め称える文章を深田久弥は「日本百名山」で引用して金峰山をほめているが、木暮理太郎や深田久弥が最大限の賛辞を送ったのは、昔からの登山路である昇仙峡からの長くて困難な道を歩いて極めた山頂だからであって、大弛峠までタクシーで来て日帰りするような金峰山ではない、ということだ。
 かつての登山路ではないものの、今ではやはり歩く人が少ない富士見平からのふつうのコースを歩いたぼくとしては同感である・・・。
 ただ、甲斐駒ヶ岳を登るときは黒戸尾根からではなく、きっと北沢峠からになるぼくには痛し痒しでもあった・・・。
楽天ブックストップページ


▼2003年11月 8日 (土)   -- No.[4]

山の本3題(その2) 「コンサイス日本山名辞典」
 2つめは「コンサイス日本山名辞典」
 こいつをついにゲットした。

国土地理院の地図に記載されている山や、地図には名前がなくてもその地方で有名な山や峠13,000の山の辞典である。
 
辞典の何が面白いかって??

 百名山のピークをひたすら追いかけているだけの人にはわからないかもしれないが、山の本を読むとどうしても山名の由来とかそういう話が出てくる。山の名前、読み方、別名、位置や標高に加えて、多くの山の解説に山名の由来やその山の来歴、伝説などが記載されているのがこの辞典である。
 昭和53年に刊行され翌年に修訂版が出ている。出た翌年にわざわざ別の版を出したということは細かい間違いや誤植は多数あるのであろう。ぼくが今回入手したのは初版の方である。辞典なので先頭から読んでいるわけではないが、残念ながら「権右衛門山(南アルプスの塩見岳のそばにある)」の標高が3047メートルとなっているのを早くも発見してしまった。

 それでもやはりこの本は面白い。
ためしに奥武蔵の展望台の丸山を見てみよう・・・。あれれ、丸山ってたくさんあるのね。でも全国に81座もあろうとは・・・。

 前回話題にした金峰山をみると、さすがに奥秩父の重鎮だけあって20行を費やし、呼び方(山梨と長野では違うが統一された)とか1967年に北岳から持ってきた雷鳥を放したとか、もちろん山名の由来(あまりにも有名ではあるが)登山路がどこからとか・・・いろいろ。
 先月行った瑞牆山に至っては、空海が霊場として検討したが谷の数が足りないので高野山にした、その時空海が彫った梵字がどこそこにあるとか、まったく知らないことの羅列・・・。「へぇ〜」と100回くらいたたきたい感じである。

 山の部位(肩とかキレットとか)の呼び名とか地方特有の呼び方や全国あるいは地域で共通の名称なども囲み記事として掲載されており、それらを拾い読みするだけでも興味深い。

 とにかく、Googleでも、神田古書店街でもブックオフでもなかなか探せなかったのだが、Infoseekで名古屋の古本屋さんの在庫リストがひっかかり、すぐに注文した。
 本の色は写真のとおり赤なのが、ちょっと意外ではあったが、山の本関係の出来事でここ数年来の記念すべき出来事で、木暮理太郎の「山の想ひ出」の平凡社ライブラリーでの復刊、岩波文庫での田部重治「山と渓谷」復刊と並ぶ出来事なのであって、3000円はとても安い買い物なのである・・・、ぼくにとっては。



▼2003年11月 8日 (土)   -- No.[5]

山の本3題(その3) 「日本地理体系 別巻 山岳編」
最後の3つめは「日本地理体系 別巻 山岳編」

箱入り、A4サイズの硬い表紙。昭和5年、改造社から刊行されたものである。
しかも本文上部(本を縦に置いたときに上に来る部分・・・。呼び名があるんだろうな)には最近は辞典でも見かけなくなった、埃よけの金色の塗装がしてある立派な装丁である。重量は2キロ近い。
こいつは昨日、到着したばかりでまだパラパラとめくっただけであり、本文は読んでいない。

この本のことは横山厚夫さんの「山麓亭百話」で知る。
たまたま、「コンサイス日本山名辞典」を探して古本屋さんのネットワークを見つけた後だったので、検索をかけると一発で見つかった。これは京都の古本屋さん。
横山さんも「百話」の中で、こんな立派な本が一般受けしないのか、申し訳ないほどの安さで購入できると書いていたがまさにそのとおり。2000円であった。今ならその3倍は楽にする装丁である。

この本が凄いのはやはり刊行された時代によるものである。
ひとつはその執筆陣。上の写真は冒頭の執筆者の一覧であるが、山の本に特段の興味がない方でも、名前は聞いたことがあるという先達ばかりである。
そういう先達がそれぞれの得意な地域の解説をしているというのがこの本の最大のウリ(あるいはカイ)であろう。

もうひとつは戦前の日本領土の山に触れていることである。
さすがにまだ満州国はないが、いまや本来の国に戻った地域やいまだに本来の国に戻っていない島なども入っている。ちなみにカシミール3DのDAN杉本さんは千島列島のファンなのでそれを目当てに購入したそうだ。

したがって、巻末にある「大日本主要山岳高度表」の第一位は富士山ではない。
このときの1位は新高山3950メートル、富士山はなんと6位・・・。北岳に至っては42位!
なんと72位の立山まで3000メートル峰が続く・・・。

言うまでもなく新高山(真珠湾攻撃の暗号、ニイタカヤマ登れのニイタカヤマ。命名は明治天皇)とは現在の台湾の玉山(ユイシャン。3997メートル)のことである。ちなみに明治29年の陸地測量部測量では上記の3950メートルだった。かなり違うんですが・・・。現時点の信頼できる数値はどれなんだろうか。3952、3992という数値もネットで見るが・・・。

さて、ぱらぱらと眺めただけだが、意外な2点の写真を発見・・・。

1枚は巻頭にある「富嶽八態」の7枚め。ほかの7枚が富士山の山中やきわめて近くからの写真なのに対してこの1枚だけは甲州のお坊山からの写真なのである。富士山の眺めで有名な山は多数あるがお坊山はけっしてメジャーではない。もちろん500円札が出る以前でもあるし、三ッ峠山にはまだ無線アンテナもなかったかなと思うが・・・。お坊山は今ではけっこうマイナーな部類に入るので意外である。

もう1枚はそれに続く本文の表紙。
この写真は加茂川からの比叡山なのだ。9月に京都の円通寺で見たのに近い方向であるのは偶然だが、富士山の次に比叡山が来るとはこれも意外である。その写真をめくった次のページからは「日本の山岳」という2段組5ページにわたる小島烏水の文章が始まるのだ。その手前をかざる表紙が標高千メートルに満たない比叡山である。せめて日本アルプスの山が登場しそうなものだが・・・。
今よりは信仰心があった昭和初期の人たちの感覚なのだろうか。

まあ、それはともかくなかなか貴重な一冊であるのは間違いない。
しかし、昔の本だけに読みにくいことも多々ある。

本文は2段組みの縦書きなので問題ないが、つらいのは写真などに記載した欄外の横書き・・・。
当然であるが、右から書いてある。
別に右から書いてあっても短かければ問題なく読める。中国の看板や昔の日本の看板をほとんど苦もなく読めるように。だから本文中の地図の中の山名が右からでもまあ問題なく読める。要するに読まなくても一度に視界に入る程度ならいい。

しかし、これが文章になると苦痛。
しかも漢数字で標高があったり、単位がメートルでなくて尺の時もある。
人の名前も苗字や名前だけだといいが(要するに2文字くらいならすっと入るが)姓名だともう苦しい。

吉久田武。よしひさ・たぶ、って誰だよ、と思ったら、武田久吉だったりする・・・。

ちなみに武田久吉がアーネスト・サトウの次男であった事実を先日「山麓亭百話」を読むまで知りませんでした・・・。


▼2003年11月19日 (水)   -- No.[6]

帰ってきたVector 〜並行輸入品修理の顛末〜
SUUNTO VECTOR Vectorといっても、ソフトウェアのダウンロードサイトではなくて時計である。どんな時計かはここ こちら とか、ここ こちら を見てください。

10月に瑞牆山に行ったときに異変に気がついた。高度をチェックしようとしたら高度表示がマイナスになっている。あれ、と思って気圧を見ると1390mb(ミリバール。今は天気予報などはヘクトパスカルだがSUUNTOはmb表示のままだ。もっとも数値は同じなので液晶の単位表示だけの問題だが・・・)。
ありゃりゃ、これは気圧計の故障か、ひょっとするとやってはいけない操作である気圧計のキャリブレーション こちら を間違ってやってしまったか・・・。そういえばmodeボタンとselectボタンを同時に押してしまったような記憶はある・・。

帰宅して気圧計の修正を試したが、海面気圧からの10か20mbの校正はできてもそれ以上はできない。
マニュアルにもあるとおり、これはメーカーに問い合わせるしかない、でも、ぼくのVECTORは並行輸入品なので国内では無理だろうと、SUUNTOの本国サイトからメールを出してみる。メールの照会先はなかったのでFEED BACKから、拙い英語で、「気圧計がこんな数字を出すので高度がマイナスになっちゃってます。操作ミスで気圧計のキャリブレーションしたかもしれないんだけど、どうすれば直りますかあ」と送信した。
2,3日たつとメールが来て、「それは気圧計故障かもしれないから、近くの代理店に持ち込んでチェックしてもらってくれ。あんたは日本に住んでるから代理店はイワタニプリムスだよ」とイワタニの電話番号を添えた返事が来た。

イワタニに電話して同じ質問をすると「WEBに取り扱い店が出ているからそこに持ち込んでくれ」といわれた。修理代はどのくらいになるか、と聞くと、原因がわからないのでなんともいえないが内容によっては本国に送るので1万円くらいはかかる、とのことであった。

WEBでは新宿に何店舗か取扱店があったので西口の店に行こうとしたのだが場所がわからなかった。ためしにヨドバシカメラの時計館を覗いてみるとSUUNTOも売っているので店員に「ここで買ったものでなくても修理してくれるか」と聞くと地下に修理受付があるのでそこで承るとのこと。
地下の修理受付で症状を説明して、時計を預け、受付表を記入している途中で奥にいた店員が「この時計は修理する仕様ではないから修理できない」とあっさり修理を拒否されてしまった。「預かってもいいが新品を買うのと変わらない価格になる」という・・。う〜ん、ここでの新品価格とは正規品の価格だから3万円近い。それなら並行輸入品を新規に買ったほうがまし・・・。
いささか腑に落ちない説明に不機嫌な気持ちのまま、近くの登山用具店ICI石井スポーツを覗いてみる。ここでもSUUNTOを売っていたので「ここで買ったものでなくても修理してくれるか」と先ほどと同じせりふを吐くと、今度は拒絶されることもなく受付をしてくれた。

まあ修理は最低で2週間程度はかかるだろうと思いながらも、淡々と日々が過ぎ、2週間めが目前に迫るとさすがに「あれはどうなったんだろう」、と思っていたところにICIから電話が入った。
すっかり修理完成の電話かと思ったら「イワタニから連絡があり、シリアルナンバーからイワタニ扱いではないことがわかったが保証書とかはあるか」と聞かれた。そんなものは当然ないしすでに購入して1年以上経過しているのでその旨を回答した。翌日また電話があり、「修理はできないので新品交換になるが、それでもいいか」というので、いくらかかるの確認してくれと答えた。

ぼくの心つもりでは当初は1万円くらいでなんとかと思っていた。
もともと保証のない並行輸入品をリスクと引き換えに正規品よりも1万円安く購入したわけだ。
しかもここまで2年、なんのトラブルもない。
半年ほど前にガラス面に傷を付けてしまったのと、かなり前からロゴの一部がかすれている以外はまったく問題なく使ってきた。
もちろん性能や利便性にはすこぶる満足している。高度計はかなり信頼できる。8月の蓼科山では誤差が5メートルほどだった。街中で歩いている方向がわからなくなったりしてもすぐに方位がわかるし山に限らず十分活躍してくれた時計である。2年間無故障で動いてくれたことには満足している。ここで買いなおしになっても十分元はとった、という気持ちである。

一方で3万円近い正規品の価格で新品交換するくらいなら、もし並行輸入品がどこかででれば2万円くらいなら買ってもいいかも、今の色にも少し飽きたので、今度は新色の「フェラーリレッド」もいいなあ、と考えていた。
で、ICIからの回答が来る間、いろいろ調べてみた。
この時計を買った楽天の時計やさん  に聞いてみたら、過去の修理事例を調べてくれて2万円だといわれた。やはりそのくらいの覚悟は必要なようだ。

ネットで検索してみると並行輸入品を扱っている店もいくつかあるが、価格的にはもっとも安いハワイの店が145ドル+送料2000円。これは円換算が面倒だしいくら日本人経営の店とはいえわざわざハワイから買うのはなあ、というのと黄色しかないので却下。楽天の時計やさんも扱っているものの、人気機種らしくすでに全色売り切れ。あと、2店ぐらい2万円弱で売っていた。
正規品だと値段はまさに千差万別で一番安くて2万7千円くらい。ヨドバシもポイント還元込みで同じくらい、なかには定価の3万7千円で堂々と売っている店やなぜか定価よりも高い4万円以上で売っている店もあった・・・。これはこれでなかなか面白かったが・・・。
SUUNTOの別の機種も見てみたが、高度、方位をカバーしてもっとも安いのはやはりVECTORである。マリンスポーツ用にも同じような樹能のものがあるが、高度測定の基本が海面下だったりする・・・。やっぱり山には無理が・・・。

で、ICIからの電話。「2万円+消費税だけど、どうしますか」という連絡。「保証書はどうなるか」と聞くと「イワタニの正規の保証が付くと思う」との回答。
え〜え、ホントカヨ。それならまったく問題ない、保証の件がNGだったとしても、2万円+税なら前回購入時と送料を含めるとほぼ同じ。新規に並行輸入品を購入しようとしても上記のような事情であまり金額的な差はない。それに今回のICI石井スポーツはイワタニとの連絡などもいろいろやってくれているし、ここで断る理由は何もないので、OKの回答をした。
とは言え、正直のところ、この時期の2万円は懐には痛いのだが・・・。

そんなこんなのドタバタでしたが、本日(11/19)、ほぼ1ヶ月ぶりにやっと戻ってきた・・・。

新品のVECTORに加えて、もとの時計につけていたベルクロのベルトがはずされて梱包してあった。
入荷の連絡時に「イワタニの保証はつきません」との報告があったが、これは想定の範囲。ま、そりゃそうだよな。もともとイワタニから買ったわけでもないのに新品を並行輸入品なみの価格で交換してくれたうえで元は2年前の商品に保証が付くわけがない・・・。

ものは変わったとはいえ、よく戻ってきました、お疲れ様、というのが素直な気持ちである。
日付も時刻もまったくあっていなかったので、さっそく自分で作ったサイト こちら を参照して日付を時刻あわせをした。

箱の中に修理記録が1枚。修理・調整内容「気圧センサーの破損です。機械内部交換ができないため新品交換となります」
破損した原因は不明。本当に破損だったのか冒頭に述べた操作をしたのかしなかったのかそれが原因か・・・、ちょっとわからない。



▼2003年11月24日 (月)   -- No.[7]

マロリーをめぐる2冊
「そこに山があるから」という名台詞を残して1924年、エヴェレストに消えたマロリーについてはそれこそ膨大な書物があるが、エヴェレストにもヒマラヤにも興味がないぼくが読んだのはここで紹介する2冊。ある意味でとても不謹慎な選択なのであらかじめご容赦いただきたい。

 マロリーについて知らない方のために簡単に解説
マロリーは20世紀前半のイギリスの登山家で未踏であったエヴェレスト初登頂をめざし、3度の挑戦をし、3回目、1924年にパートナーのアーヴィンと歩いている姿を隊員が見たのを最後に消息をたち、1999年になるまで遺体が見つからなかった。エヴェレストの初登頂は1953年5月29日にヒラリーとテンジンによってなされるが、その間実に30年近く、幾多の登山隊が挑戦したが、未踏のままであった。
1924年に消息をたったマロリーが遭難したのは事実であるが、それが頂上に行く前なのか初登頂を成し遂げた帰路のことなのか、ということが長年論争されてきた。もしマロリーの遺体が発見され、カメラが回収され、その中に山頂で笑顔のマロリーやアーヴィンが写っていれば、初登頂の栄冠はヒラリーでなくマロリーのものとなる(名前が似ていてややこしいが)。

という予備知識のもと・・・・。

1冊めは夢枕獏「神々の山嶺」。

 夢枕獏の作品は軽くてけっこう好きなので安倍清明の陰陽師もの、「餓狼伝」とか「上弦の月を喰べる獅子」とか図書館で見かけると読んでいる。「神々の山嶺」は単行本が出たときにわりと早く買った。図書館では予約がいっぱいで当分借りられそうになかったから・・・。
この作品は1999年にエヴェレストで75年前に遭難したマロリーの遺体が発見されたが、世界中が期待したカメラが見つからなかったことを発端にそれを探しに行くというフィクションである。しかしテーマはマロリーその人やエヴェレスト初登頂の謎の解明の話ではなく、純然たる山岳小説である。
 夢枕獏はご本人も山好きであるが、登山やヒマラヤの予備知識なく楽しめるエンターテイメントである。横山厚夫さんは「山麓亭百話」の中で「今様」(平安時代末期に流行った流行歌のような和歌、をもじって、古典ではない娯楽、という意味かと)と評していたが、まさにそのとおり。
 八千メートルの高所での登山がどんなものかがとてもよくわかるし、娯楽としてお勧めする(最近は文庫本になっていますね)。


もう1冊は今日、読みました。


メスナー「マロリーは二度死んだ」
 こっちはご存知、超人メスナー(八千メートル峰全14座登頂、ほとんどが無酸素単独という超人・・・)が、エヴェレストに横たわる死後のマロリーが語る形で、初登頂の検証をしていく。
 この本も一気に読んだ。
 特に前半は1924年のマロリーの3度めの挑戦の話、そして1960年に中国隊がマロリールートで登頂したとされる疑惑の挑戦・・・。そして1975年のまさに中国らしい人海戦術で今度こそマロリールートを克服した模様を描写している。
メスナーは「初登頂はヒラリー」と断言しているが、その理由などが実際に現場であるエヴェレストを一度ならずとも登った経験の迫力がある。
一方で、すでに1000人近くが登頂している(うち300人近くが遭難)エヴェレストのあり方をマロリー伝説を含めて、マロリーの言葉を借りて非難している。なんとなく百名山ブームにつながる部分がある。
 要するにエヴェレストは1953年以前と以後では存在価値が違うということらしい。

 冒頭のマロリーの「そこに山があるから」は原文では because, it is there.
このitは間違いなくエヴェレストをさし、サラリーマンハイカーが家族への言い訳に使う「そこに山があるから」ではなく、「そこに(未踏峰の世界の頂点である)エヴェレストがあるから」なのだ。
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