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山岳保険 集成・・・というほどでもない
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以下は2006/5/14の拙作ブログの記事を加筆修正したもの。元ネタはGoogleの検索。「山岳保険」で検索すればこの程度の情報は簡単に得られますが、加入に当たっては特約の条件などをよくご確認ください。また記述に誤り等があればご連絡ください。
 なお、WindowsXP SP2では「セキュリティ保護のため〜」というメッセージがブラウザ上部に出ることがありますが、これは右上の更新日にJavaScriptを使っているためです。SP2のセキュリティ対策はこの程度の処理の安全性も判断できません・・・。

1.はじめに・・・単なるたわごと

2.山岳・ハイキング保険の一覧
  年間契約タイプ1回申し込みタイプ個人的なポイント

3.「山岳保険」の約款の解読と要旨
 救援者費用と遭難捜索費用、ハイキング保険と山岳保険の条件の差など
  (1)富士火災の約款概要
  (2)(有)セブンエーのQA
  (3)富士火災の約款抜粋
   ・救援者費用特約
   ・遭難捜索費用特約
  (4)三井住友海上のパンフレットから
  (5)富士火災のパンフレットから

1.はじめに

  あなたの山岳/ハイキング保険は以下の事例でヘリの費用を保険金を支払ってもらえますか?
   ・夏の白馬大雪渓を4本歯アイゼンで登行中の落石により骨折し、民間ヘリで下山
   ・夏の北岳で高山病にかかり民間ヘリで広河原まで降ろしてもらい事なきを得た。
   ・秋の大雪山で発達した低気圧に遭遇、雨具からの浸水激しく衰弱して歩行不能となった。

  中高年登山が盛んでどこへ行っても満員御礼の割りには「山岳保険」はあまり進歩していないのかなあ、損保っていかに払わないかが仕事だからそうなのかなあ、その点、とりあえず死んだら払う生保の方が払いがいいよ、という某金融機関の知人の台詞を思いつつ、今年で満期を迎える(と、思った)山岳保険の更新をどうしようかと調べてみた(実は満期は来年の7月だった・・・)。

 ネットで調べられるようになったせいもあるが、扱い代理店の数だけは増えているように思える。一方、安易なヘリ呼び出しの風潮も反映し、保険金支払い条件が厳しくなったり、付保額が減少する傾向もある。しかし一方では山岳団体が代理店と共同でより良い商品開発をしている例もあり、進化の気配も感じる。

 調べながら山岳保険全体のことはもちろん、加入中の保険についても自分が無知なことが多いのに驚いた。

 詳細は下記の各社の保険の約款を確認する必要があるが、「ハイキング保険」程度のものでは冒頭の3例では保険金は支払われない。支払われるのは落石や滑落など不慮の事故のみであるようだ。ご自身が加入している保険の内容と山行スタイルとの整合性をよく確認することを勧める。

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2.山岳・ハイキング保険の一覧
2行めのコメント欄で「 」内は該当する会社のサイトなどからの引用です。

【年間契約タイプ】
保険名称等連絡先等救援者費用
捜索費用
年間保険料引受会社
 山岳共済日本山岳協会
http://www.jma-sangaku.or.jp/insurance/index.html
300万円
(I型II型とも)
I型3,000円
II型6,000円
三井住友海上
特別共済は個人加入可能。「常時、ピッケルやアイゼン、ザイル等を使用しないで登れる登山行為をいいます。※よって、岩登り、沢登り、スキー登山、冬の雪山などは特別共済の対象とはなりません。」個人賠償1億円。

モンベル野外活動保険モンベル
http://www.montbell.com/japanese/insurance/
救援者費用 500万円2,500円
(シンプルプラン)
富士火災海上
下記、山岳保険との比較からアイゼンピッケル登攀は対象外と思われる。個人賠償1億円。

モンベル山岳保険モンベル
http://www.montbell.com/japanese/insurance/
救援者費用 500万円
遭難捜索費用 200万円
14,630円
(捜索費用100万円で8,230円)
富士火災海上
「ピッケルやアイゼン等を使用した本格的な山岳登はんや山岳スキーなどをする方を対象とした保険」だそうです。個人賠償1億円。

レスキュー費用共済日本山友クラブ
http://www16.ocn.ne.jp/~n-sanyuc/index.html
150万円6,000円
「保険会社の保険で対象とならない病気や衰弱を原因とする遭難も補償の対象となることが大きな違いです。自力下山、自力脱出が不可能な場合は、ご本人またはご家族から警察に救出要請していただき、遭難事故と認定されれば対象となります。登山やハイキングはもちろんのこと、スポーツ活動全般、キャンプ、釣り、キノコ採りや山岳写真撮影など、野外活動全般が対象になります。季節、場所、活動形態を問いません。」というのがウリ。個人賠償もあるが付保額不明。

都岳連 遭難共済都岳連
http://www.e7a.jp/tmf/
Aタイプ:150万円
Cタイプ:300万円
Aタイプ:4,000円
Cタイプ:8,000円

都内在住でなくても個人加入可能。新規入会には+1,500円。ハイキング、登山、岩登り、アイスクライミング、山スキー等ほぼあらゆる範囲をカバー。高山病などにも対応。無事故継続還元あり。事務代行は下記のセブンエー。2007年版のパンフレット:http://www.e7a.jp/tmf/2007/tmf07.pdf 他に山岳登攀・ハイキング中も有効な普通傷害保険(個人賠償1億円)もあり。東京海上日動火災保険

山岳ガード有限会社セブンエー
http://e7a.jp/
救援者費用 500万円(ノーマルタイプ)
遭難捜索費用 200万円
(山岳タイプ)
4,000円(ノーマルタイプ)
12,000円(山岳タイプ)
三井住友海上
海外でのクライミングを含め保障額などさまざまなプランあり。個人賠償1億円オプションあり。同社は都岳連の共済の事務代行ほか各種団体の保険を扱っているようだ。

ハイキング保険三井ビューロー(山岳保険センター)大川氏
http://www.valley.ne.jp/~ishikida/hoken.htm
救援者費用 500万円3,000円
上記URLは参考サイト。個人経営で連絡先も電話だけでやや不安。

山を愛する方の保険木村総合保険事務所(有)
http://kshj.co.jp/mountain/
救援者費用 500万円3,000円富士火災海上
「登山・ハイキングの保険は、市販の登山地図に於ける一般登山路で無雪状態の登山をされる方に限り、募集対象とさせて頂きます。」となっている。ぼくが現在加入しているもの。ネットでの評判がイマイチかなあ。Webは充実しており費用が支払われる条件などは詳しい。個人賠償オプション1億円。

オールラウンド遭難捜索費用保険木村総合保険事務所(有)
http://kshj.co.jp/mountain/
遭難捜索費用 100万円
救援者費用 500万円
9,000円富士火災海上
「一般登山に加え積雪期登山、残雪登山、軽アイゼンを使用する登山、藪こぎなど非登山道登山、岩登り、沢登り、アイスクライミング。」等も対象だそうです。個人賠償オプション1億円。

山岳保険千代田保険センター天野 博文
http://www.sangakuhoken.com/
遭難捜索費用 100万円(基本プラン)8,000円あいおい損保
ぼくが最初に入った保険会社。Webでは今井通子が推薦している。個人賠償5千万円のオプションあり。

ハイキング保険千代田保険センター天野 博文
http://www.sangakuhoken.com/
救援者費用 300万円2年間 10,500円あいおい損保
こちらは登攀は対象外。遭難捜索費ではなく救援者費用。個人賠償3千万円

登山保険ほか平林保険デスク
http://w2.avis.ne.jp/~hirasan/index.html
救援者費用 500万円(プラン3)7,110円富士火災海上
長野の個人代理店。夫婦型、雪山などさまざまなプランあり。個人賠償1億円。

山岳保険・ハイキング保険(株)グラフィス
http://www.glafis.com/819/
救援者費用 500万円(ハイキング)
遭難捜索費用 150万円
(山岳F)
4,160円(ハイキング)
11,900円(山岳F)
三井住友海上
各タイプともいくつかプランあり。ハイキングタイプでは「病気や天災による遭難などは約款上お支払いができません」とある。山岳タイプは不明。個人賠償1億円オプションあり。

登山ハイキングの保険(有)クリップス
http://www.clipss.co.jp/yama.htm
救援者費用・遭難捜索費用
 100万円〜200万円
6,910円〜12,890円日本興亜損害保険
「アイゼンなど使用する冬山や、岩登り沢登りなどの危険度の高い登山も補償します。」救援者費用・遭難捜索費用の合算表記のため内訳は不明。個人賠償1億円。

山岳保険(株)CIS ホールディング
http://www.cis-holding.co.jp/hoken_sangaku.shtml
救援者費用300万円
遭難捜索費用100万円
14,000円損害保険ジャパン
「山岳保険とは、ピッケル・アイゼン等を使用した本格的な山岳登はんを楽しむ愛好者達に向けた保険です。」「但し、エベレスト、K2、マナスル等危険度の高い山等は、保険の対象外です。 」だそうです。個人賠償1億円

ハイキング保険(株)CIS ホールディング
http://www.cis-holding.co.jp/hoken_sangaku.shtml
救援者費用300万円10,000円損害保険ジャパン
「ハイキング保険なら、天災時のケガまで対応できる保険です。」個人賠償1億円
(注)引受会社:三井ビューローはネットでは不明でした。共済は仕組み上引受け会社はないものと思います。いずれにせよ申し込む場合はちゃんと調べてね。

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【1回限りの山岳保険】
 直前に申し込むタイプのものもある。国内旅行保険に特約をつけるものである。ふだんは山歩きはしないが観光の延長でするとか、年に1、2回程度であればこういうのもありだろう。

保険名称等連絡先等救援者費用
捜索費用
保険料引受会社
レジャー保険
トレッキングプラン
保険スクウェアbang!
http://www.bang.co.jp/ski/
救援者費用 200万円500円(1泊2日)
600円(3泊4日)
あいおい損保
ほかにウィンタースポーツプランもあり

上高地山岳保険アルピコ保険リース
http://www.alpico.co.jp/alpico_insurance/
6泊7日まで
救援者費用 300万円
1000円損保ジャパン
上高地バスターミナルのきっぷ売場で申し込み。アルピコは松本電鉄グループ

レジャー保険瀬尾事務所
http://seno.jp/pages/insurance/index.htm#leisure
保障内容がよくわからない。保険料は1000円程度。東京海上日動
上記サイト(東京海上日動のサイト)でオンライン申し込みができるが、保険料など詳細は申し込んで見ないとよくわからない。
東京海上日動の申し込みサイトにはhttp://www.ins-mall.biz/からも行ける。

 

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ざっくりみた印象というかポイント。

 もともと山岳保険という保険種類があるわけではなく、傷害保険に特約をつけたものである。
 山岳保険を企画する代理店と引受会社との間で、捜索費用などの特約条件について条件闘争があり?、その代理店の考え(経営判断や熱意)により条件が微妙に異なるのではないか?、とも思ったりもしたが、引受保険会社が同じ場合には特約の条件は(保険料は別として)変らないのでは?。
 高山病や衰弱などケガではない場合の遭難時の扱いが異なるのは引受会社次第なのかどうかそのあたりがまだよく分からない。
 自動車保険など高額商品に付帯する保険ではなく保険そのものだけでセールスをしなければいけない山岳保険はマーケットも自動車や通常の旅行ほど大きいわけでもなく、またひとたび事故となると行方不明の問題や現地の遠さなど面倒な面も多いと予想され、それだけが理由ではないにしろ、山岳保険だけではなかなか企業経営に乗りにくいのか、扱い代理店は実態として個人経営が多い。

個人経営のリスクは

  1. 担当者がひとりか少数なのでいざというときに連絡がとれない懸念がある。
  2. 運営主体の倒産・廃業リスクが通常の会社よりは高い。
ただし、緊急時連絡先は引受け保険会社が直接窓口となる場合が多いため、このような仕組みであれば問題はない。
一方で個人ならではの良さもある。
  1. 山への興味、熱意があり、一般の保険会社よりも理解があることもある。
  2. 同様の保険、事故を手がけているので慣れている。
なお、個人経営かどうかは会社の形態(株式会社、有限会社等)によらない。

1.遭難捜索費用と救援者費用
というのは違うようで適用にも細かな条項がある。 例えば
【モンベルの特約条項】では
救援者費用等担保特約:現地からの移送費用(遺体移送費用または治療中の被保険者を被保険者の住所もしくは住所の属する国の病院に移転するために要した移送費。付添医師、看護師の付添いに要する費用を含みます。)

遭難捜索費用担保特約:被保険者が日本国内において山岳登はんの行程中に遭難したことにより、その捜索、救出もしくは移送のため捜索活動を行った者に対し、負担する費用をお支払いします。

となっている。これ要するに救援者費用等(上の特約)はヘリで移送される場合に治療状態にある必要がある、ということ。怪我をしていれば明白だろうが体力消耗などの場合は微妙(病院で点滴しろ、といえば対象になるのかどうか)。

→ どうも救援者費用はハイキング保険でも適用されるが、遭難捜索費用は「山岳」保険でないとだめ、というパターンが多く、金額も前者は300万や500万と高額であるが、遭難捜索費用はせいぜい100万円程度という印象。

 この2つの特約の違いはこちらに記載しました。

2.保険適用できる状態
 1にも関係するが(ヘリの場合)、日本山友クラブのコメントには「保険会社の保険で対象とならない病気や衰弱を原因とする遭難も補償の対象」とある。他の保険では対象にならないのでは?
 特約付保の条件の確認はしっかりと。
 木村総合保険事務所(有)のサイトの「山の保険Q&A」に支払い条件などが保険約款とともに掲載されている。これは引受保険会社の条件であり文例を含めて業界でほぼ統一されていると考えられるので他の保険会社でも同様の条件と考えて良いだろう。

 2006年5月現在、上記の保険に加入しているので「契約のしおり」から気になるところをを見てみた。こちら

3.保険料
 また共済以外のほとんどの保険は就業者とそうでない人(学生、主婦等)では保障時間の関係で後者の方が保険料が高い。就業者は就業中の事故は労災が適用され保険会社の保険金支払い負担が就業者でない人よりも相対的に軽いせいだろう、と勝手に想像。
 山岳保険自体の保険料は、保険会社が発生率などのリスクを計算のうえで損をしないように計算しているのだろうが、金額の大小でいえば、山行の頻度やレベルはあろうが、自動車保険、特に車両保険などに比べれば十分納得できるものではないかと思う。

4.個人賠償責任保険
 山岳保険というとヘリコプター費用が出るかどうかにどうしても注目が行くが、実は個人賠償の問題も大きい。ぼくは幸いヘリでの捜索のような事故には遭っていないが、ザレ場や岩場で石を落としてしまったということは何回かはある。幸い事故にはならなかったがそういう場面に遭遇する確率は高い。多くの山岳/ハイキング保険には個人賠償責任保険も標準で付保されているがオプションの場合もあり、その場合は追加しておいたほうがいいだろう。