この山の写真
          92年4月18日(土) 高畑山・倉岳山

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 今回は1月以来3か月ぶりだし、1月も殆ど歩いてないし、ちょっと不安で、行く前 日まで行き先に悩んだ。
 当初は、滝子山か三つ峠かで悩んでいた。結局近い(交通費が安くてアプローチがな い)滝子山にしようと前日の夜まで考えていたが、用意も満足にしていないし、少しで も歩行時間が少なくて、満足できそうな近場の山ということで今回の山行が決まった。
 しかし、用意もせずに寝てしまい、目覚ましもセットせずに起きられるか。・・とこ ろが、娘が夜泣きで4時に起こしてくれた。

 永山を始発で出たら、八王子では2分待ちで高尾行きが来て、高尾では1分待ちで隣 のホームの大月行きに乗れた。鳥沢駅には6時28分について歩き始める。
 甲州街道からの曲がり角を見過ごして5分ほどロスがあったが、ほぼ時間どおりに小 篠貯水池に着く。ここで大月行きの電車のなかからいた中年夫婦を追い越す。
 夫婦で山に行ければ問題ないが、ああいうのは子供はどうしているのだろう。すでに 大きくなって手が離れたのか。いずれにせよウチの場合は花粉症では杉林のなかを歩く ことはほとんど不可能だろう。もっとも山はひとりが一番。

 沢すじの路はときどき踏み跡を確認する箇所もあったが良く踏まれている。沢をはな れ暫く斜面を登ると、穴路峠への路から右に登るようになる。この峠の読み方は下山し た今でも分からない。分岐には古びた道祖神があって『みぎやまみ、ひだりとうげ』と なっていた。一円、5円の賽銭ばかりのところへ、今日の無事を祈って大枚10円奉納した。

 粗林のなかをゆっくり登る。けっこうな斜度だが眺めはなかなか良い。そうだ、天気 の報告をしておこう。快晴にちかい晴天でとても暖かい。でも霞がたっていて遠望はき かない。桂川を隔てて扇山はいかにも山名の由来を示すように尾根を広げておおきい。 でも中腹までは2つのゴルフ場だ。ゴルフは(下手でも)好きだがこういう立場で見る と弁護のしようがない。自然破壊のなにものでもない。
 左には行こうとしていた滝子山の鋭峰が見え、右には大蔵高丸から破魔射場丸あたり の稜線がよく見える。

 ひとしきり斜面を登ると、鬱蒼とした杉林にはいった。だれもいない林というより森 は昼なお暗く思わず歩みを躊躇うほど。しかしやがて稜線にでで間もなく高畑山の頂上 にでる。9時につけば御の字と思っていたが9時5分前についた。上等上等。

 西が伐採されていて良く見える。遠望はきかず、南アルプスは影も形もないが、それ でも富士山だけはかなりはっきり見える。裾まで真っ白でまだまだ冬の装いだ。
 正面は丹沢や道志の山だ。秋山川の向こうなので手が届きそうだ。
 せっかく買った双眼鏡を持ってくるのを忘れたがこの天気では三つ峠の電波塔を見る ぐらしかできないな。それにしても500円札の絵を持ち出すまでもなく、富士山と三 つ峠はよく似合う。今度こそ行ってやるぞ。

 それにしても誰もいない。静かだ。川沿いの工事の音は聞こえるが、桂川沿いの雑踏 は全然聞こえない。鶯の声だけが響いている。こういうのは悪くない。『いい山だ』と 思う。
 休憩していたらさきほどの中年夫婦が到着した。ひとりずつポーズをきめて写真を撮 っている。亭主のほうは背中をむけて富士山を指さすポーズ。けっこう気合が入ってい る。

 さて本日のメインイベントは終了。これで穴路峠から鳥沢にもどってもいいのだが、 時間はあるし予定どおり倉岳山へも足を延ばそう。

 穴路峠までは地図にはでていない小さなピークを2、3越えてからで30分近くかか る。峠までの路もなかなかいい。振り返れば高畑山が大きく、前方にはこれから目指す 、倉岳山の鋭峰が見える。「ダンディな山」と『展望の山旅』に紹介してあったがまさ にそのとおり。
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 峠から20分ほどで山頂につく。こちらは『展望の山旅』にでていた山頂の西からも すでに植林の杉は育ち展望はきかない。山頂からは林の間から丹沢の蛭が岳からの稜線 が見えるぐらい。遠くには陣馬山や高尾、石老山がみえる。高柄山もちかい。

 このころになると徐々に人も増えてきた。とはいっても今回すれ違った人は合計して も10人ぐらい、パーティの数は5つぐらいか。こういうマイナーな山は団体はこない 。単独行がほとんど。しかも結構なお歳の方も多い。倉岳山の頂上にいた初老の人は杖 をついて足をひきずっていた。途中で足をくじいたのでなければ、障害者か。あそこま で山が好きなら本望だろう。

 山頂をあとにして立野峠にむかう。かなりの急坂をすべりながら下ると峠だ。峠から はすこし急坂をいくとすぐに沢沿いの路になる。新緑がとても綺麗だ。植物の名称はわ からないがなかにとてもきれいに輝いている木があった。
 何度か沢の右岸、左岸を渡りなおすとやがて沢からはなれ工事中の林道にでる。ここ までくれば梁川駅まではもう少しだ。駅が見えてきた、あと10分ぐらいかと、思って いたら上りの各駅停車がホームから発車したのが見えた。これでたぶん30分は次の電 車はこない。(実際は43分来なかった)

 駅についたのは12時10分、さっき見えた電車は6分発の電車だった。駅は無人駅 で入場券販売機のような機械で『乗車駅証明書』を発行してもらい、下車駅で料金を清 算する。ここが下車の場合は乗り越し清算金入れに不足分をいれる(ほとんど性善説に もとづくシステムで嬉しい。)
 12時48分発の立川行きで八王子まで帰る。しかし、当然だろうけどすっかり通学 電車で騒々しかった。

 追伸:やっぱり前日に用意せずに当日の朝、コンビーニエンスストアで済ませようと すると不足がでる。(米つぶ食品がなくて思いっきり腹へった)
 今回は距離が短いことで却って飛ばしすぎたかもしれない。右足の裏が痛いぜ。

                               (終わり)