山旅日記|写真
連休初日に静かな低山を楽しむ・・・・生藤山 (990メートル)

2002/4/27

 甘草水附近の山桜で知られる武相国境・笹尾根のこの山の名前を知ってから久しいが、今回、やっと訪れた。
 連休初日というのに出会ったのは4組のみ(うち単独行2名)の静けさと、目に痛い新緑の雑木林を堪能できた。生藤山山頂では富士山も顔を出してくれた・・・。

 車の回収を考慮して登山口は鎌沢とし、下りは和田に降りる。コースタイムはわからないが登山口と山頂との標高差、約650mから登りが2時間半程度。下りはその7割で1時間半くらいだろう。ネットで検索したが同じコースのものは見あたらなかった。
 いちおう地図上の分岐のいくつかと山頂をカシミールでWayPoint登録してGPSに送っておく。あとは歩く範囲のカシミールの地図を印刷しておく。
 前日の準備はこれだけ。

 予定より30分遅れで自宅を出て、しばらくしてから昨晩印刷したカシミールの地図を忘れたのに気が付いた。まあ整備された道だろうし、GPSにポイントを送ってあるのでこれを目安にすれば道に迷うことはないだろう。

 高速はさすがに少し混み気味であったが、渋滞というほどではなく、カーナビの予測どおり7時15頃に鎌沢入り口に到着。さらに奥まで車で行く予定であったが、舗装はしてあるものの道の荒れはひどく、細いので鎌沢入り口バス停の少し手前の路肩に車を置く。

 天気は予報よりはいい天気。時折陽もさしてきた。ただ遠望が効く感じはない。まあ1000メートル以下の低山だし、近隣の山くらいが見えればいいだろう。富士山は無理。それより有名な桜が少しでも残っていないかなあ。

 今回、この山にしたのは、前から行きたかったこともあるが、今読んでいる、新妻喜永「東京付近のんびりゆったり山歩記−フォト&エッセイガイド」でのこの山の描写が良かったからだ。新妻さんといえば若手山岳写真家という印象があったのだが、1941年生まれだから、もう60過ぎなんですね・・・。歳を取るわけだ・・・。

 さて、バス通りからはずれて鎌沢への道は舗装はされているがいきなり険しい。しばらく歩くと県立の公民館があり(神奈川県です・・・)その前に数台分の立派な駐車場がある。この駐車場をあてにしてここまで車で来ることもできるかもしれない・・・。
 急な山の斜面にはかなりの高さまで茶畑が並んでいる。平なところがないのでお茶しか栽培できないのだろう。ただ、寒村という雰囲気はなく、降り注ぐ陽光のせいかもしれないが広い敷地の軒先には丹精込めたいろいろな花が咲いていてとてもきれいだ。
 さらに登ると県立鎌沢休憩所という立派な名前の東屋があり、これまた立派な案内盤があった・・・。

 やがて舗装道路は終わり山道になる。山道に入るところで休憩した。そこではじめてストックを車に置いたままだったのに気が付く・・・。
 仕方ないので落ちていた杉の枝を適当に折って杖にした・・。

 今日はIDAさんからモニターしているGPS対応デジカメをライトスタッフさんからモニターしているブラケットに装着して、それを首からかけている。おなかのあたりにカメラがあるが、サブザックの固定ベルトがその上あたりで締められるのでカメラがぶらつくことはない。今まではGPSはザックの肩ベルトの上部にデジカメ用のケースに入れていたので常時見ることはできなかったが、今日はすぐに見られる。
 これはかなり便利。
 今回のようにGPSに登録したWayPointをMap表示画面で見ながら歩くには大変良い。ただ、おなかが衛星補足の邪魔になるのか、気持ち感度が悪いような気がする・・・。杉林に入ると補足できなくなることが多い。雑木林ではそういうことはないので単に環境のせいかもしれない。

 杉林は暗くて好きではないが、雑木林は気持ちがいい。このあたりはクヌギ系が多いようだ。ブナは見かけない。それとやはり桜が多い。花の頃にはなかなか見応えがあるだろう。
 山道は緩急の繰り返しが何回か続く。
 銀の鳥居のようなものをくぐるとやがて桜の名所の甘草水(かんぞうすい)に着く。
 やはり桜は終わっている。かろうじて1本だけが葉桜ながら花を残していた。

 この先で今日初めてハイカーにすれ違った。初老の夫婦だった。
 やがて東京、神奈川、山梨の境の三国山にかかる。新妻さんの本で、この道はやたら巻き道が多いと書いてあったので、分岐ではかならず道標を確認していたので巻かずに済んだ。
 山頂には誰もいない。

 生藤山への最後の登りはちょっと険しい。といっても岩場というほどではない。が、まあ「関東ふれあいの道」という感じで小学生低学年でも心配なく歩ける、というふうではないので巻き道も仕方ないか、と納得した・・・。

 山頂からは意外に眺めがいい。新妻さんの本で「よけいなお世話」で富士山方面を切り開いてあるせいだ。
 丹沢がよく見える。その右にはなんと富士山が頂上部だけ姿を見せている。富士山は他の山と抜きんでているので遠望が効かないときでもこういうことが時々ある。南アルプスはさすがに見えない。右には扇山と権現山が大きい。扇山というとハイキングの山なのでなんでこの山がこんなに立派に見えるんだと思ったら、今いる山は1000メートルにも満たない低山であることをあらためて認識した。
 それでも新緑はきれいで人もいない。とても気持ちがいい。
 時刻は9:40。歩き初めて2時間半。だいたい予想どおり。このまま当初予定のとおり進むと12時くらいに車に戻れるだろう。

 山頂で食事をしていると単独行ハイカーが同じ方向から来て休みもせず陣馬の方に行った。今日会った二組め。

 当初のコースを歩くことにして腰を上げる。
 下りはけっこう急。
 すぐ登り返すと茅丸という1019メートルのピーク。生藤山より20メートルほど高い。そのまま通過し、歩く。
 雑木林の尾根道が気分がいい。
 やがて連行山。標高は不明だがこの山も1000メートルは超えているようだ。
 林の間から大岳山が大きく見える。

 連行山といえば、田部重治が木暮理太郎がまだ雲取山に登る前に笹尾根を歩いた時の記録に出てくる。彼らは今のような整備した道でないところを超人的な速度で歩いたんだろうな。なにせ鴨沢から雲取山往復を日帰りしている人達だから・・・。

 ここからの下りでもう一人単独行の人とすれ違う。その後10人くらいのパーティとすれ違った。おばちゃんが複数いて大きな声で話ししながら歩いていた。その声はすれ違うかなり前から聞こえていて、静寂が乱された気がした。これが今回の唯一の汚点。

 和田への分岐はGPSに登録したポイントよりもかなり前にあった。帰宅して確認すると地図がまちがっているようだ。左の地図の赤い線がGPSトラックログ。右上のBUNKI3で和田への分岐だと思ったらその手前の谷の部分が実際の道だった。杉林が多かったのでログがあまりとれていないが・・・。
 下りは最初はかなり急だったが、杉林を抜けてからは緩い歩き易い道になった。いつもよりも前傾してスキーのような重心配置にしたところかなりの速度で歩けた。が、あとから太股も前部が痛くなった・・・。スクワットで鍛えないとだめか。

 茶畑で始まったこの小さな山旅は最後も茶畑だった。
 え、こんな上に人が住んでるの?と思うような上部まで民家があり、茶畑があった。

 やがてバス通り(といってもここより遙か下でバスはおしまい)に出て佐野川沿いの道をしばらく歩くと車を置いた場所に戻った。



ログ
7:19鎌沢入り口発
8:03鎌沢休憩所
8:57甘草水着
9:12甘草水発
9:31三国山
9:40生藤山着
10:14茅丸
10:34連行山
11:04和田分岐
11:42和田登山口
11:57鎌沢入り口