この山の写真
92年7月11日(土) 櫛形山

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 山の名前はよく知っていたが、この山があやめで有名ということは最近まで知ら なかった。それを知ったのは先日神田の古本屋街で買った「山梨のハイクコース」 という山梨日日新聞社の本。この本を読むうちに別の本で雨の避難小屋からあやめ を眺めるシーンがあったのを思い出した。

 近所のファミリーマートで食料を買い込み、国立ICに乗ったのは5時。甲府昭 和ICに6時につき、「県民の森」をめざす。走りやすい舗装道路をゆっくり走り、 伊奈が湖のほとりのグリーンロッジには6時30分ごろ。このころになると雨も本 降り。このまま帰ろうかと思うものの、どうせまた来るには高い高速代を払わなけ ればいけないし、あやめを見るには雨を覚悟しなければと歩き出す。(7時)
 林道を暫く歩き、北尾根にとりかかる。奥秩父をおもわすような原生林の中で、 場所によっては気味悪くなるほどの暗さだ。1時間ほどでひょうしぬけするような 立派な林道にでた。みはらし台とよぶところで、 田中澄江の石碑があり、立派な 駐車場もある。
 車できた人に聞いてみると、一部未舗装の道もあるものの概ね整備された道のよ うで、タクシーでここまでくるハイカーもいる。立派な休憩所もあり単なる観光地 に近い。幸い自動販売機も売店もまだないが。
 田中澄江といえば下山した翌日に図書館で「花の百名山」を見たらこの山が載っ ていない。おかしいなと思って「新花の百名山」を見たら載っていて「10年前に 「花の百名山」を編集したあとこの山に登って「しまった」と思った」と書いてあ った。それほどすばらしいアヤメの大群落のようで「(地元では)東洋一といって いるが世界一かもしれない」と書いてある。

さて、みはらし台という名の通り晴れていればかなりの展望が望めそうだ。この ときも甲府盆地は雲の下だが、富士山の一部と御坂山塊そして奥秩父がうっすりと 見えた。ためしに、携帯してきたハンディートランシーバーでワッチしてみるとほ とんどフルスケールで入感してくる。やはり144MHzは地上高が命か。

 あやめ平まではここから95分ということで、95分後についた。なぜかこの指導標 の所要時間は私の歩くスピードとぴったりであった。途中はまた深い原生林に入る。 途中には昔の炭焼き窯があったり、100mごとに高度標識があったりでゆっくり歩き すぎて途中随分たくさんの人に追い越されたが、あやめ平に付いてみると95分とい うことで遅い訳でもない。
 あやめ平は少し時期が早かったのか、あやめ(あやめと入力して変換キーを押し たら菖蒲とでてきたけど別物じゃなかったっけ)は数えるほど。
 立派な避難小屋で少し早い昼食をすまし、1時間も休憩して11時30分に出発する。  裸山は2,002mのピークだが、ここはあやめが見事であった。あやめ平でがっかり したハイカーの多くもここのあやめを見て満足して下山していく。山頂付近は紫一 色で、ハイカーは思い思いの場所で弁当をひろげなかには酒盛りも始まっている。 本当ならここからは白根三山がよく見えるはずだが、晴れてきたとはいえ残念なが らその方面はガスのなか。

 奥仙重をめざして歩き始めると荒川三山が見えるところをとおり再び原生林の中 へ入る。このあたりの原生林は麓よりもさらに鬱蒼としていてさらにサルオガセが 枝にぶら下がっていて、幻想的よいうよりやはり気味が悪い。
 奥仙重につくころにはすっかり雨もあがり上空は青空だが、依然この山の周囲は 霧の動きが激しい。1時に下山開始する。途中少しペースを早めたり、ころんで慎 重になったりしてもあいかわらず指導標の時間と5分もずれず、2時45分にグリ ーンロッジに到着した。途中の林道からは頂上の雲が晴れた見事な富士が見えたの は、雨を覚悟していた山行としては上出来だった。
 帰路も道は空いていて混んでいたのはやはり地元の関戸橋だった。  (終わり)