山旅|写真
紫の花の美ヶ原 2005/8/7

美しの塔  立秋の昨日(8/7)、美ヶ原に行ってきました。

 美ヶ原への印象は霧が峰から眺める王が頭のアンテナ群と美しの塔、ビーナスラインに代表される俗化のイメージ。北アルプスの展望がなければただの丘、という消極的な印象。そんなわけで妹の名前の一文字をここから採ったというこの地を訪れることがなかった。日帰りでカンタンにいける場所(っていうのばかりを探しているんですが・・・)ということで、今回やっと行ってみた次第。あ、ここって百名山ですね。

 美ヶ原へのルートはいくつかあるが、南すなわち和田峠からのルートは高原美術館や山本小屋に近いが最高峰の王が頭に遠い。ピークにこだわらず美ヶ原に行ったというだけなら、なんとなく俗化度合いが強いこちらの方が楽そうである。一方、自然保護センターから天狗の露路のルートは王が頭に近いが東京からは遠回りになる。当初は遠回りでも人と車が少なそうなこちらのコースを想定していた。万一展望日和になった場合、北アルプス側を走るほうが早めに展望をものにできるし・・・。
前日になって自閉症の娘が「あたしも行く」といい始めたので、高原美術館でもいいかと考えた。
 結局、朝起きられなかった娘を置いてひとりで当初のコースを目指して出かけた。中央道は韮崎ICになっても甲斐駒も見えない天気模様で展望は期待できそうにない。松本ICで市街に降り、カーナビに従って車を進めると2000年の夏に訪れた浅間温泉のホテルのすぐそばに出た。温泉街のかなり細い道から林道が始まった。想定していた道よりもかなり幅が狭くとてもバスは通れない道。高度をぐんぐん上げるが松本平はガスで見えない。無展望の一日になりそうだ。帰りに判明したがこの林道は7時から17時は上りのみの一方通行になるようだ。やがて美ヶ原林道に合流した。こちらはバス通りである。

 やがて名前とはうらはらに寂れた印象の美鈴湖をとおり高度を上げる。針葉樹と白樺が織り成す林の間を林道は走る。緑の中の木漏れ日が気持ちよい林道だ。やはり東京からは裏側にあたるせいか、車はほとんどいない。やがて頭上を覆う林が切れるとそこはすでに美ヶ原の一角、武石峰のすぐそばである。このあたりから散策する人や写真撮影をする人が徐々に現れる。やがて自然保護センター。バスの終点である。車はさすがに多いもののまだ20台程度か。

 今日も登山靴ではなく、ゴローのタウンシューズ「てつ」で歩くことにしていたので山靴も持ってこなかったが、まじめにトレッキングする人が多いせいか、意外にも周囲にはきちんとした格好の人が多い。出発間際にMio168でのGarMapCEの操作を忘れてしまい断念。
王が頭ホテル前のヤナギラン  歩き始めたらすぐにマツムシソウとヤナギランに出会った。花はかなり多い。8月の山はすでに初秋なのであまり期待していなかったのでうれしい。ヤナギランは2千メートル級の山ではよく見るはずの花だが花期が遅いので今まで霧が峰ではほとんど見たことがなかった。
 展望はだめそうなので最初の分岐では王が鼻への道ではなく、王が頭への道を選ぶ。やや登山道っぽい道に少しだけ汗を搾られると突然多数のアンテナ群のある山頂に出る。王が頭のアンテナは三つ峠のそれと同様に遠くからもよく見えるシンボルでもあり、なんともいいがたい。
 頂上には立派なホテルがあった。美しの塔への道に送迎バスが時々とおる。宿泊者らしき多数の人がバスに乗り込んでいたが、「少しは歩けよな!」と直下まで車で来たくせに思う。


美ヶ原牧場の牛。集団でいると臭い  展望は近隣の武石峰しか見えないが、高原全体は見えるのでそんなに不満でもない。風が心地よい。とりあえず尾崎喜八の碑文を見に行くことにした。美しの塔はかなり大きいようでここからもよく見える。のんびりと草原を歩くといきなり横に牛が寝ていたのにびっくり。そうかここは牧場なんだ。林道の両脇の柵がやけに立派だと思ったが牛止めなのか。
 美しの塔はぼくのようにここだけは訪問する人が多いせいか、人が寄っては去る。記念写真を撮る人も多い。美ヶ原の遠景のシンボルは間違いなく王が頭のアンテナ群だが、近景のシンボルがこの塔なのだろう。

 来た道を戻り、王が頭からホテルの脇を抜けて三角点を見に行く。三角点の横に写真で見覚えのある山頂の碑を確認。ここからは王が鼻への道がよく見える。意外と多くの人が歩いている。せっかくなのでマツムシソウの群落の中を歩いていくことにする。途中にはキオンの群落がある。キオン自体はあまり好きな花ではないが群落になると見ごたえがある。この時期、ヤナギランの濃い赤紫やマツムシソウの薄い青紫を筆頭にハクサンフウロやシャジン、ウツボグサなど紫の花が多いので濃い黄色 のキオンは目立つ。そういえばニッコウキスゲも一輪だけ見た。
 王が鼻の標高点は地図ではやはりアンテナ設備の中のようで、そこには寄らずに石仏群のある地点まで行った。ここには立派な展望解説写真があったが、今日は無用である。
 引き返して車まで戻る。
自然保護センターは出発時には閉館していたが今は繁盛していた。
12時10分発のバスを追いかけるように車を出したが、中央道は上野原あたりで早めの渋滞に巻き込まれた。夏休みだなあ、と思いながら16時過ぎに帰宅。

展望10点ながら花の多さで70点の山旅だった。
kashmir3dによるトラックログ(山旅倶楽部の地図を利用)
トラックログ( )内はGPS(Geko201)での標高。けっこう誤差があります。

写真はこちら
ブログ(ほぼ同じ内容)