▼2003年 8月19日 (火)   -- No.[1]

成毛真さんの「カシミール3D入門」
「文藝春秋」9月号のコラム「今月買った本」にDAN杉本さんの「カシミール3D入門」が取り上げられていた。著者はあの成毛真さん。成毛さんが今月買った10冊程度の本について順番にコメントしていくようなもの。立ち読みだったのと、カシミールの部分しか読んでおらず内容もうるおぼえ・・・。「で、では仮想登山でもしようかと」カシミール3D入門の話になる。簡単にできることを説明したあとで「このソフトだけのためにPCを買ってもいい」との感想で総じて好意的な記載であった。

 最後に「1900円。10年前なら100万円しただろう。デフレである」・・・・。
 この最後の一言がなければよかったなあ、という感じ。

 たしかにデフレではある。カシミールがまだ最初のバージョンだった数年前には50メートルメッシュの数値地図はFD1枚に1図幅のみ収録で9700円・・・。中部山岳一帯を揃えるのにボーナスを叩いた開発者もいた(この人)。
 その後、CD化により価格が2000分の1になったのは当時は大きな衝撃だったが。こちら 国土地理院の地図利用の認可は徐々に広範に求められるようになり、昨年、ついに「カシミール3D入門」が出た。
 まだ昨年のことではあるが、当時一番の驚きは印刷物ではなくデータとして全国の数値地図(を加工したもの)を書籍に添付することが認められたことだった。
 もちろん、認可には複製利用を禁止するための厳しい条件があり、カシミールがそれに対応できていることが大きな理由である。この本に添付された地図データの形式は公開されていないが、ユーザが解析しても元の数値地図に戻すことが非常に困難にしたうえで、カシミール本体では地図の表示や鳥瞰図の作成のためにソフト的な負荷を軽くしたうえで内部的に復元できるようになっているはずである。これらの困難な条件をクリアしたうえで刊行されたのが「カシミール3D入門」である。

 このあたりの事情は一読者である成毛さんは当然ご存知ないわけで、「デフレ」の一言で片付けられてしまうのはいたし方ないともいえる。
成毛さんがソフトの価値を認めたうえで「デフレ」といっているのは彼が元マイクロソフトジャパンの社長だったことを考えると少しばかり皮肉ではある。
成毛さんが購入した「カシミール3D入門」は第12刷、この種の本としては大変なヒットであるがインプレス「できる、シリーズ」には遠く及ばないし、成毛さんの昔の会社が販売しているOSにも当然、遠く及ばない・・。あのOSがこの本くらいの価格で販売されるようになったときにはじめて「デフレだ」と言ってほしい・・。


▼2003年 8月19日 (火)   -- No.[2]

どうしたインクリメントP
遅ればせながら、オンライン地図サービスのMapFan.NETを試用してみた。こちら このサービスは年間3200円だが、登録しなければ体験版として10日間試用できる。
カーナビ地図の草分け、インクリメントPのサービスである。

ぼくの利用しているオンライン地図サービスはカシミールを使う「山旅地図」(年間2800円)である。その他の有料サービスは利用していないが、Yahooの地図検索などは良く使う。また電子地図はアルプス社プロアトラス2002(プロアトラスWは評判悪いので使っていない・・・)とSONYのNavin'You 5.0をデスクトップで、VAIO-Uで5.5を使っている。

 そんな状況の中での試用であったが・・・・。

 結論からいうと楽しくないですね。少なくともぼくが求める機能はあまりない。
地図そのものはきれいだし、拡大縮小時でも鮮明でこの点はプロアトラスよりも全然良い。
ルート検索機能の操作もNavin'Youよりも簡単である・・。作成したルートを再生する機能はちょっとかったるいがまあ面白い。

 それらのメリットを認めたうえで、やっぱり面白くない。

1.住所表示が少ない
住所をみてどのあたりかな、というのは電子地図ではよく使う機能。この機能はYahooの地図で十分代替できるが、その付近の住所をみたり、その地点を登録したり、というときにはプロアトラスレベルの住所(特に番地)の表示が必要。この点はYahooの地図はアルプス社なのでよいがあの地図は色が悪いですねえ・・・。それと検索時に最大縮尺(分母が小さい、すなわちより詳細)で表示されるのがいまいち。もう少し中縮尺にしてほしい(といっても郊外は大縮尺がなかったりもするが・・・)。
 いずれにしてもこの点でMapFan.Netは使えない。

2.インターフェースが嫌い
 縮尺切り替えはスライドバーでやるが、無段階ではなく、またバーも小さくて操作がしにくい。この点はNavin'Youの無段階切り替えが便利。プロアトラスは無段階切り替えはできないが、ボタンが大きいので操作性は良い。
 そのほかの機能もアイコンでの起動となるが、アイコンの色は汚いし小さいし操作しにくい。

こういうデザインを見ると「新型スカイラインの後部」を見ているようでうんざりする。

3.情報量がない・・。
 1.とも関係するがそもそも地図としての基本情報量がプロアトラスに比べて少なすぎる。

ルート検索でも昔からある近所の立体交差を平面交差と錯誤したまま検索するし(ここの地図を使っているパイオニアの楽ナビも同じミスをする・・)、ランドマーク名、交差点名が少なすぎ・・。
近所の遊歩道など広い国道と立体交差している道は出ていない・・。これは元がカーナビ用地図ということを考えれば仕方ないかもしれないが、交差点名が少ないのではこれも??
 
というか、交差点や一方通行の情報は警察関係の天下り先が高い料金で持っているからそのあたりをけちったのか?とも思える。

4.デスクトップ連携機能が少ない
 PCのソフトとの連携がもう少しあったもいいのではと思うが、場所を示す情報をメールで送る機能も対象メーラが限定されていて使い物にならない。
デジカメ画像の貼り付けや参照もできない。
デジカメ画像の位置情報(EXIF情報のGPS情報)についてはプロアトラスがWで非対応になり大きな批判があった(のかな、そのせいかな、ホントに)が、2003年番のプロアトラスW2では再度対応できるようになった。

デスクトップでインターネットに接続して利用する地図ユーザのニーズをつかみ切れていないのではという印象。

なんか、まとまりがないけど、これではYAHOOの無料サービスと何が違うのか、というレベルだったので思わず書いてしまった。

有料オンライン地図サービスには他に ゼンリンのZm@p on netがあり、こちらは最近値下げして年間1980円になった。残念ながら試用ができないようだが、機能的にはMapFan.Netよりはかなり充実しているように思える。こちら
1980円なら入ってもいいかな、と思わせる価格ではある。





▼2003年 8月21日 (木)   -- No.[3]

ゼンリン電子地図はというと・・・。
昨日(19日)のDayDreamで「ゼンリンのZm@p on netは試用できない」と書いたが間違い。利用者登録をして会員になるとソフトのダウンロードが可能となり、15日間無料で試用できる。で、試用した。

結論からいえばMpFan.Netとどっちもどっちかなあ、という印象。
詳細は下の表のとおりだが、Zm@p on netにがっかりしたのは、画面が小さい! これにつきる。いまどきあのサイズでの固定画面はねえだろ、という感じです。地図を見るときは全画面で見たいのだ。

あと、ルート検索が操作性も検索結果もぼろぼろ。同じゼンリンの地図を使っているNavin'You5の方が数段まとも。

さて、以下が比較表。両方ともわずか1時間程度しか触っていないので操作、機能に発見漏れが十分ありうることを念頭にごらんあれ。
















項目インクリメントP
MapFan.Net
ゼンリン電子手帳
Zm@p on net for PC
プロアトラス2002
Navin'You5との比較
起動時間遅くはないサーバが遅いのか・・。
デザイン・色色の選択性は少ないいくつか色を選べてきれいかもデザイン的はZがいいかも。ま、好みでしょう
拡大縮小スケールバーは使いにくいが、スクロールマウス対応無段階でスクロールマウス対応ZはNavin'Youそのまま
スクロール使い易い。プロアトラス方式慣れが必要。Navin'you方式右にドラッグすると地図の右が見えるのがNavin'YOU。左が見えるのがプロアトラス
番地表示粗い細かいZはプロアトラス並
交差点少ないさらに少ない!問題外
情報検索操作性は良い。娯楽情報検索はやや弱い操作性はいまいち。検索機能は高め情報検索は古めの電子地図はまったくだめです
ルート検索指定方法開始終了の指定は簡単だが、
登録済地点から指定ができない
インターフェースめちゃくちゃ。開始地点指定はふつう。それ以降はスクロールを右クリックのまま行う必要あり。登録済地点からの指定なしNavin'Youの勝ち。Zは画面が小さいので指定もやりずらい。
ルート検索結果まあまとも有料指定あり、なしとも絶対使わないルートが出るZの結果は使えないですね。
ルートシミュレーション再生速度調整可能で使い易い交差点拡大はあるが再生速度調整ができないシミュレーション機能はどうせ使わないから・・・。
デジカメ写真対応なしなし低レベルの引き分け・・。
地図コピーできないできないプロアトラスのようにできるといいのに・・・。


こうやって少し古めのスタンドアロン形の電子地図と比べてみるとネットワークならではの強みは双方ともある。スタンドアロン電子地図にできることをあえてしていないような気がする。

どっちかを選べとなると悩ましいが、画面が大きい方を選びたくなる。
ルート検索はけっこう使うので(結果のシミュレーションは使わないが・・・)MapFan.Netかもしれない。
ただし、ゼンリンの方は同じサービスでPDA用があるのでPDAを使いこなす人にはこちらかも。

で、古めのスタンドアロン電子地図を持つぼくとしては、たぶん両方とも使わない。
上記の機能なら情報検索を含めて、古めのスタンドアロン電子地図とインターネットの無料サービスで十分。情報検索はGoogleで調べて住所がわかったらYahooの無料地図で十分。
電子地図は2,3年に1回くらい買い換えればいいかなと。
プロアトラスは全国DVD版でも実売1万円程度。地域を限定すれば数千円でしょう。

というわけでオンライン地図サービスはまったく目的が違う、「山と自然の旅」+カシミールが一番いいな、というお話。



▼2003年 8月21日 (木)   -- No.[4]

Zm@p on netの画面
Zm@p on netの画面は小さいと書いたが、うそでした。
今日、娘のデスクトップで開くとちゃんとフル画面になった。
デザインもぜんぜん違う・・・。どこで設定するのかよくわからない。

操作性ももう少し確認しなくては・・・。


▼2003年 8月30日 (土)   -- No.[5]

結局のところ・・・。
2つの地図ソフトをその後、何回か使ってみた。
Zm@pは設定でデフォルトの画面デザインが変更できることがわかった。
あと、Zm@pでの、ルートシミュレーションはとんでもない経路を出すこともあるが
普通のルートを出すこともあることがわかった。
さらに、ゼンリンの方はシミュレーション機能に加えて到達予測時間が出ることが
MapFan.Netに比べ優れている。
 しかし、そんな機能はNavin'Youは当然できる。
 シミュレーション機能の出来栄えではZm@pとMapFan.Netだと前者のゼンリンの勝ち
である。しかし、Zm@pの操作性の悪さはどうしようもない。いったんシミュレーション
機能を起動するとマウスの先には、途中のポイントの旗がついてしまい、クリックすると
ポイントが指定されてしまう。これをふせぐには右クリックしながらスクロールしたり
する必要があり、このインターフェースは久しく出会ったことがないほどひどい。

 オンライン地図ソフト2種はスタンドアロン地図ソフト2種(プロアトラス2002、Navin'You5)
にいずれもまったく勝てない。
 というのが今回の結論。