HOME    BACK    最新投稿
 
DayDream

●HTMLでアップするのが面倒なんでcgiでアップするようにしました。
◎ここにはPCとか山とかその他のこと(要するに思いついたこと)を書き連ねます。
○書いているときはそう思っていますが、「白昼夢」なんで覚醒した後はそう思っているとは限りません

blog版はこちら
★過去のDayDreamは
こちら(2002/2まで)
こちら(2002/3以降)
最近のは下の[back/next]で


最新投稿を 10件 表示しています


▼2004年10月17日 (日)   -- No.[1]

すぐできるカシミール3D図解実例集 1 初級編
すぐできるカシミール3D図解実例集 1 初級編
今月刊行されたカシミールの解説本「すぐできるカシミール3D図解実例集 1 初級編」を入手した。
すでにカシミールを使いこなしている方には、今更、という印象の「初級編」に見えるが、実はそうでもない、というのが第一印象。

この本、書名は「カシミール3D」であるが、正確には「(カシミール3Dの中の3D機能である)カシバード詳細解説編」である。
もくじを見ると第四章以降はなかなかの中級編。



うぉちずと従来の1/25000地図

 さて、この本のもうひとつの目玉はやはり付属のDVD-ROMに収録された地図データである。
 今までの解説本には地図画像として5万分の一地形図が収録されていた。山旅倶楽部で提供しているのは2万5千分の一地形図なので、5万分の1は貴重だったが、一方で山歩きに使うには5万分の一は粗い。
 今回、関東甲信越限定とはいえ2万5千分の一地形図が収録されたことは大きい。
2万5千分の一地形図は国土地理院の地図閲覧サービス「ウォッちず」があり、カシミールでもこの地図を使うことができる。こちらの地図はデジタル化されていてある意味見やすいとも言えるのであるが、山旅倶楽部で提供される紙地図(地図画像)の2万5千分の一に比べてなんとなく物足りなさが残る。

「ウォッちず」(左)と今回の2万5千分の一(右)の地図画像をカシミールで並べてみたのが左の画像。改めて見比べてみると情報の細かな違いに気がつく。(クリックすると別フレームで原寸に拡大します。685KB)。
赤城山周辺であるが、最高峰黒桧山の南にある駒ヶ岳の表示が「ウォッちず」にはない。それとまったく個人的な好みの問題であるが、等高線の色や太さとかがどうも「ウォッちず」の仕様になじめないのです。山名の文字も右肩上がりの紙地図特有の書体に慣れてしまっていて・・・。特に等高線については紙地図の方は見ているだけで立体感を感じることができるが「ウォッちず」の方ではどうもイメージがしにくいのだ。

・・・というような古い世代にはやはり紙地図ちっくな本来の2万5千分の一地図画像は貴重なのだ。

解説本3部作の最終巻「パーフェクトマスター編」は2,600円であったが、今回はDVD-ROM付きで2,400円に収まっている。

さて、この本、書名の最後は「1初級編」となっている。2以降も刊行されるのだろうか、またその時には地図はどんなものが収録されるのだろうか・・・。
それよりも、これだけの本を執筆し、日夜カシミール3Dのメンテナンスをこなし、きっと本業もこなしているDAN杉本さんはいつ山を歩いているのだろうか・・・。

(注)この文章では「地形図」「地図」「地図画像」等の用語が感覚的に使用している部分があり、国土地理院の定義とは必ずしも一致していないと思いますのでご容赦ください。


▼2004年 9月23日 (木)   -- No.[4]

水越けいこ コンサート
最新アルバム aboveクラシックとJAZZのライブ以外のごく普通のコンサートに、本日(9/23)生まれて初めて行ってきました。
水越けいこさんのコンサートです。
会場の品川教会グローリアチャペルはこんな感じです。
席数はざっとみて300くらいでしょうか。当日券もあったようです・・・。
ぼくは9列め(背もたれにはってあるシールは前の列が7列でした・・・)。ステージからの距離もちょうどいい感じです。

開場前から教会の前でたむろする観客はほとんどがぼくと同世代の中年男。中年の夫婦もかなりいる。もっとも山と違って60代以上は見かけなかったが・・・。
女性も概ね30代以上で、若い人は男女ともほとんど見かけなかった。
一番若かったのはバックバンドでバイオリンを弾いていた徳武さん(20歳)だったのでは・・・。

さて、何せ生で音楽を聴くのは久しぶり。
JAZZのライブだとPAに頼ることがほとんどないので、まずPAに圧倒された。
やっぱり音楽は大きな音で聞くのがいい。

最初の3曲は曲名とメロディが一致しなかったが、その後はほとんどが知っている曲だった。
夏の歌、秋の歌と続いた。
ANTONIO'S SONGを収録するSleeping Gypsy
最初に聞いたアルバム、The Art of Tea

途中、内外の別のアーティストの曲を歌った。若い頃の思い出の曲としてマイケルフランクスのアントニオも歌っていた。マイケルフランクスはアルバムは「The Art of TEA」でその存在を知ったが、このアルバムを最初に聞いたのも、水越けいこさんの「アクエリアス」を最初に聞いた先輩の下宿だった。

アンコールの最初はなんと、アカペラ。
21枚の全アルバムの歌詞カードを抱えて、会場からのリクエストに4,5曲答えてワンコーラスずつ歌っていた。
UNPLUGEDというか無伴奏のアカペラであそこまで歌えるのはさすがだ。
50歳になってあそこまで歌うのには相当の基礎体力がいるだろうなあ。
50歳といえば、水越けいこさんと同じ歳のミュージシャンだと、ユーミンがいますね。
ぼくらが学生時代や20代の時に熱中した人は当然ながらぼくらよりも年上なわけだけど、がんばっているなあ・・・、と、ここを見ながら思った・・・。

さて、アンコールは2曲めのBeautiful daysでフィナーレだと思ったら、最後にToo far awayをやってくれました。

2ndアルバムから最新のAboveまで網羅しており(2日前に完成の新曲披露もあり)、お気に入りのアルバムの年代が異なっている人でも十分に満足できるコンサートだったのではないでしょうか。
もちろんぼくは満足しました。

P.S そうそう、けいこさんが櫛形山登山の話をしていましたが、いくら夏とはいえ、やっぱり15時から北尾根(たぶん)を登ってはいけませんねえ。この山も前回行ったのがもう9年も前だ・・・。



▼2004年 9月20日 (月)   -- No.[3]

押井 守のアニメ
押井 守のアニメをいくつか見た。
押井 守の作品は初めてみた。
イノセントで話題になっているが、こちらはまだ見ていない。
見たのは、イノセントの前作になる、GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
そして、機動警察パトレイバー 機動警察パトレイバー2 the Movie WXIII 機動警察パトレイバー

GHOST IN THE SHELL は現在の日本のアニメの水準を示す傑作だろう。
パトレイバーシリーズは1、2とも面白いが、WXIIIはストーリーが読めてしまうし、たしかに「これがパトレイバーですか」という感じがある。
パトレイバーシリーズは作られたのが90年前後、時代設定は2000年前後だが、10年、15年前に想定できる近未来の超高層ビルの乱立と古い町並みの並存は、最近の六本木や汐留、東京駅近辺の開発を見ると概ね正しいような気がする。ロボットの2足歩行技術だけが追いついていないし、コンピュータのOSもまだ追いついていないが・・・。

いずれにしても最近のアニメはほとんどが5.1CH音声なので、音だけでも十分楽しめる。パトレイバー2はジェット機など飛ぶモノがけっこう登場するので5.1CHで鑑賞すると楽しい。

さて、描画のリアリティという点だけで見れば、押井守のこれらの作品を見ると宮崎駿がとても小さく見える。比較してはいけないのだろう。

アニメの技術という点で見れば、アニマトリックス が、やはり凄い。
この作品、ネーミングではじめはバカにしていたんだが、見てみるとたしかにマトリクスの元になっている。こいつを見るのはマトリクス3部作を全部見てからのほうがいい。でないとややネタバレになってしまう。



▼2004年 9月20日 (月)   -- No.[2]

三浦雄一郎「高く遠い夢」


三浦雄一郎「高く遠い夢」を読んだ。
2003年5月22日、70歳にしてエベレストに登頂し、無事下山した記録である。

三浦雄一郎といえばプロスキーヤー、冒険家であり、アウトドアに興味のない人もその名前くらい知っているだろう。
氏に関してはこんな記憶がある。
1970年、エベレストのサウスコル8000メートルから大滑降をした頃だったろうか、父が
「雄一郎よりも親父のほうが凄い。オレと同じ名前だ。名前を聞かれると、三浦敬三の敬三、ということにしている」
そんなわけで物心ついた頃から三浦敬三・雄一郎父子の名前は知っていたし、エベレストの滑降の様子は例の転倒から岩への激突までは何度かTVで見たことがあるが、本を読んだのはこれが初めてである。

冒頭が山頂への最後の登高シーンから始まるのは賛否両論ありそうだが、全体としては気負いなくまとまっている。最初のほうには父・敬三の話も出てくる。この人はこの2月(2003年)に99歳でモンブラン・ヴァレブランシュ氷河24キロを4時間かけて滑っている。もちろんギネスブックである。今でも年間120日スキーを履くというから凄い。

ヒマラヤ登頂ものは往々にして何度のたかい壁の通過の模様にページが裂かれ、それはそれでいいのだが、今回はふもとからの高度順応を含めた様子が書かれて参考になった(参考になったといってもヒマラヤに行くつもりはないけど・・・)。


▼2004年 9月18日 (土)   -- No.[1]

「金融腐食列島」
金融腐食列島
再生 続 金融腐食列島
混沌 新 金融腐食列島
呪縛 金融腐食列島U


高杉良の「金融腐食列島」シリーズを読んだ。

高杉良は城山三郎以来の経済小説の雄ということだが、なんとなく食わず嫌いで読まなかった。
たまたま同僚が、金融腐食列島シリーズの最新刊、「混沌」を持っていたので借りて読み、残りは図書館で借りた。

「金融腐食列島」、「再生」、「混沌」はシリーズものでモデルは旧三和銀行。「呪縛」は映画でも有名だがモデルは旧第一勧銀。

最初の3部作はそれぞれの時代に合わせているが登場人物は同じ。
「金融腐食列島」が一番面白い、というか、「ええ、こんなことやってんのかよ、銀行の御偉いさんは」という驚きが先行する感じ。不良債権と癒着の発生がよくわかる。
「再生」は住専問題と貸し剥がしだが、ストーリーの中だるみ防止のためか主人公の不倫も登場。3部作のなかでは映画化しやすいと思ったら、今日、蔦屋書店でDVDがレンタルされているのを発見した。なるほど。
「混沌」はUFJ統合までのすったもんだで、あまり面白くない。

「呪縛」は旧第一勧銀の総会屋融資による強制捜査以降のストーリー。初出の連載(産経新聞)の最後は1999年8月19日。3行統合の発表も同じ年月だったが、エピローグはそれを匂わせる記述で終わる。

まあ、全般的に面白いし、読ませるのはさすがだと思う。
気になったのは同じフレーズが横断的に使われて鼻につく。
「ためにする噂」「エモーション対エモーション」「容喙する」その他にもいくつかあったけど、こんな言い回しを話し言葉で使うのかなあ、というのはあった。
それといずれの作品も年月を特定しているにもかかわらず、最初の「金融腐食列島」では実名で出てくる直接ストーリーとは関係ない政治家や首相の名前が「再生」以降はすべて役名になっている。



▼2004年 8月20日 (金)   -- No.[2]

水越けいこ「マーガレット」
マーガレットの裏表紙
 水越けいこさんの4枚組CD「マーガレット」を入手した。

 「Aquarius」を初めて聞いたのは学生時代、先輩の下宿だった。
 もちろんアナログレコードである。
彼女が「8時の空」で田中星児と唄っていたのはよく見ていたけれど、ファンというほどではなかった。が、「Aquarius」で参りました。
 それから「Lady」「Heart」を買い、「Like You!」「LoveTime」は発売と同時に買った。もちろんこれらもアナログレコードです。初めてCD化された時に購入しなかったのはお金のせいか、まだまだアナログレコードをメインにしていたのかは覚えていない。これらのCDは今は廃盤である。今でもレコードを再生できる環境もあるけど、やっぱりCDが欲しくなったので、機会あるごとに探していた。


歌詞カードにはアナログレコードのジャケット写真が・・・。

 Yahooオークションで、初期の4枚のアルバムをパックにした「マーガレット」というCDが出品されているのを時々見かけた。以前に見たオークションの説明によれば、このCDはファンクラブ会員限定で過去に発売されたもの、ということだった。出品価格は2万円くらいが多い。4枚組なので1枚あたり5千円だ。さすがにちょっと高いが、けっこう落札されている。先日、このCDがオークションで5千円で出品された。ぼくも入札したが終了3分前に1万円を超え、結局15,501円で落札された。
 今でもファンにとっては貴重なアルバムなのだ。

 そんな「マーガレット」を先日、定価の8千円で購入できた。1アルバムあたり2千円。

 オークションに負けたあと、水越けいこさん関係のWEBをググっていたら、このCDはまだ正式に発売されているということがわかった。さっそく発売元へメールを出して確認すると発売中のCDのリストとともに購入方法の連絡があった。

 

水越けいこ CD リスト
CDタイトル収録アルバム価格
マーガレットLady Heart Aquariua Likeyou!8,000円
睡蓮LOVETIME JIGGLE I'mfine VIBRATION8,000円
BLUE STARKAREN-NA−KISS TEN ACTRESS Moonflower8,000円
紫苑〜シオン〜PROPORTION Ane−mone DRAMTICALLY Sepia8,000円
ストロベリーキャンドルHumane Precious The Sketch of a Woman Inmylife8,000円
わすれな草未発表曲3,000円
ベストオブガランス
3,500円
セレクションオブガランス
3,500円


以上がリストである。。
持っていないアルバムを全部購入したいところであるが、ちょっと控えてまずは「マーガレット」と「睡蓮」を購入した。

念願のCDで聞く「東京が好き」もまた良いものだ・・・。なんせアナログレコードのほうは聞きすぎてなんとなく磨り減っている感じだし、手元の安めのアナログ環境では音の再現性が・・・。
 
 さて、発売元であるが、以下のとおりである(公開の許可をいただいています)。

  ミュー音楽出版株式会社
 郵便番号154−0001 東京都世田谷区池尻2−9−8エンドウビル4F
 tel:03−5779−7621/fax:5779−7623
 e-mail:mup@mb.kcom.ne.jp

 睡蓮にも元のアルバムのジャケット写真 
申し込みは郵便振替であるが、プレス枚数の関係で納期がかかる場合もあるそうなので在庫状況をメールで確認のうえで申し込むほうが良い。ぼくの場合は在庫があったので入金後2日後に送付された。
 水越けいこさん以外のアーティストのものも扱っているとのことであるが、やはりプレスの関係で品切れも多く、8/18時点では、山崎ハコの「飛びます十七歳」と言う彼女が十七歳の時の当時の未発表のミニアルバムが在庫のようである。

さて、この会社。Googleで検索しても不思議なくらいほとんどヒットしない。

 Webでも作って在庫状況を公開したりすれば、さまざまなアーティストの隠れたファンが喜ぶのではないかと思うのだが・・・。
 もっと簡単には、オークションに定価程度で出品すれば、それよりも高い値段で落札してもいいと思っている人たちがこぞって入札するのでは、というか定価を落札希望価格として出品してほしいけど。



▼2004年 8月 2日 (月)   -- No.[1]

柴田 翔「記憶の街角 遇った人々」

 柴田 翔「記憶の街角 遇った人々」を読んだ。
 この本は氏の幼少の頃からの記憶やドイツ留学時代および最近のエッセイをまとめたものである。
 これを読んでいる途中で、「されどわれらが日々」を読み直したことを昨日書いたが、「記憶の街角 遇った人々」を読むことで再読した「されどわれらが日々」で感じた作品や印象への疑問の多くが氷解した。それは「されど・・・」の冒頭でH全集を購入する古本屋が「記憶の・・・」に出てくるとかいうタネ探し的な理由もひとつではある。
 印象的であったのは、作品を同時代的に読むかどうか、ということ。「記憶・・・」の中で柴田氏は1950年に書かれた戦後世代の小説を1953年に読んだ時に、すっきりと感情移入できなかった、あるいは取り残されたような印象があった、という話を書いている。この時期は朝鮮情勢が不穏な時期でありまた朝鮮戦争そのものの時期である。この3年の違いを同時代として生きたかどうかの違いがその理由のひとつであろう、ということだ。
 ま、あまり真面目?な文学論を述べるつもりもその技量も表現力もないのであとは割愛することにする・・・。

 こういう、後出しジャンケンのような読み方の是非はともかく、若い頃に「されどわれらが日々」に純粋に感銘を受けたことも、20年以上後で読み返してみた感想もそれぞれに正しいということがわかっただけでもこの本を読んだ甲斐があった。


▼2004年 7月31日 (土)   -- No.[2]

柴田翔「されどわれらが日々」

 たぶん20年ぶりくらいで、柴田 翔「されどわれらが日々」を読んだ。
 柴田 翔の小説やエッセイはこの本を皮切りに学生の頃、ほとんど読んだ。最近(といってももう数年前だと思うが)は小説では「中国人の恋人」、エッセイでは「風車通信」「晴雨通信」あたりか。先日、久しぶりに氏の新刊「記憶の街角 遇った人々」を見つけたので読んでいる。
 同時に、当時あれほど感銘を受けた「されどわれらが日々」の記憶がぜんぜんないので、昨日図書館で借りてきたというわけ。
 この作品は1964年の芥川賞。借りた本の奥付けは、1994年刊行で第105刷。ロングセラーである。
 
で、20年ぶりの感想であるが、主人公と同世代の頃に読んだ時の印象とは当然異なる。
当時は相当啓発され、自己評価ランキングでも最上位に近い評価をした覚えがあるが、今読み返してみると、思想的なことや生き方とかいうものよりも、当時の学生に影響を与えた運動の根の深さである。
舞台は東大である(柴田氏は東大独文)。
東大の秀才達の人生の一時期、あるいは一生に多大な影響を与えた学生運動やその元になる共産主義という政治思想に驚いた。思想の中身ではなくて、かくも簡単に(ではないかもしれないが)洗脳されるものか、ということである。最近また話題になったオウムやあるいは政府与党の一部をなす政党を支える宗教団体のことがちらっと頭をよぎった。

40年前の芥川賞は去年の芥川賞よりもきっと難解かもしれないし、主人公やそれを取り巻く同世代の人々の生き方や死に方には、現代の若者は共感できないのではないか、と思った。しかし、そう思う自分がすでに共感できない世代になってきたということかもしれない。
ということでなかなか複雑な読後感である。


▼2004年 7月11日 (日)   -- No.[1]

江上 剛「統治崩壊」


江上 剛「統治崩壊」を読んだ。

ここでいう「統治」とは「企業ガバナンス」のことである。
企業や役員個人が危機に際していかに当事者能力がなくなってしまうのか、ということである。

小説宝石の2003年1月から隔月連載されていたものを単行本にして今年の3月に刊行したようだ。
ちなみに単行本のページ数を412ページであるが、相応の厚みであり、「復讐総会」とは紙質も違うので嵩高紙は使っていないようだ・・・。

中身は氏の経験を活かした銀行ものである。
ストーリーもなかなかいい(最後の水戸黄門的展開は「復讐総会」と同じであるが・・・)。

サラリーマンとして気になるのは、モデルの存在である。
この小説に出てくる銀行のトップはホントにひどい。もちろん事件がないと小説にはならないわけで誇張や複数のモデルの組み合わせはあろう。
しかし、この小説を読んだ人は「こんなにひどいのか」という思いを持つだろう。
大企業や大銀行のトップなどまったく知らないぼくなどの一般読者にとっては、これが銀行のイメージになる。
特に江上氏の場合は経歴から、その銀行が特定される。
今回の登場人物も、「檜垣」は「檜」から「杉」で「杉田」、「若村」は「村」から「西村」なのか?とモデルの詮索をしてしまう。

江上氏はあとがきで自身が退職した理由を雑誌「選択」の記事とは別の形で書いているが、この小説にしてこのあとがきがあると、「こんな結末を迎えることができたら江上さんは銀行をやめなかったんだろうなあ」と思うと同時に、当時の銀行トップはこんなだったのか、と思ってしまう。

江上氏はそれを望んでいるんだろうか?


▼2004年 6月16日 (水)   -- No.[1]

江上 剛「復讐総会」
復讐総会
江上 剛「復讐総会」を読んだ。

なかなか小気味良い連作である。
元総会屋の勇次が正義のために活躍する「ヒーロー物」である。
そういう意味では出来すぎの話が多いが、初期の頃に見られた文章の不自然さはなく、気楽に読める。もちろん、ネタは氏の経歴に負うところが多い。特に2002年のシステム統合の失敗の後の激務で、心筋梗塞で死んでしまう、某銀行のシステム企画担当次長のくだりには、他人事とは思えない気がする・・・。システム開発の現場はどこの世界でもデスマーチが付き物ではあるものの、経営層に振り回された挙句のシステム統合の失敗とその後処理のご苦労は、サンデープログラマのぼくには想像もできないものだ。
 さて、この小説。最初は連作物とは知らずに読み始めたので、表題作がいきなり劇的な結末を迎えてしまい、「あれえ、もう終わっちゃうのかよ。このあとはどうすんだよ」という印象であった。あれだけ勇次のバックグラウンドを設定したのに、もう終わりかよ、という不満がちょっと残った。ま、読んでいた環境が歯医者の待合室だったこともイライラ感をちょっと募らせたか。
 で、次の作品に入るとこれも主人公は同じ勇次なので、ほっとした。

読みやすい話が多いし、「非情銀行」とかの初期の作品に比べればやたら銀行や金融にかかわる小難しい話が展開されずに読後感はいい。ただ、いずれの作品もよく言えば「水戸黄門」的であり、そんなに上手くいくわけないよな、という感じはする。氏の今後の課題であろうか。


TackynoteSP Ver0.6 | Tacky's Room